娘さん、私立中学校を退学する (3) ~円満退学の道~
2017年 06月 12日
娘さんが進学コースのクラスにはじめて入って、久しぶりに部活に参加し、辛い思いと、捻挫をして帰ってきた日から、休日をはさんで、3日経ちました。
幼稚園の時から、ずっと診てもらっている、児童心療内科に、娘さんを連れていきました。
心療内科の先生に、娘さんが、2ヶ月がんばったけれど、もう限界で、私立中学校を退学しようと考えている事を伝えました。
疲れて座っている娘さんに、心療内科の先生は、笑顔で言いました。
「おう、そうか。よく、がんばったな。もう、気は済んだか?」
「私立中学校って言ったって、所詮、義務教育だ。部活だって規則が厳しいし、みんなと同じにさせたがるものだから、合うわけないよな。」
「一度、行ってみないと気が済まないだろ? だけど、もう、いいよな。」
娘さんは、うなずきました。
先生、今度は、公立中学校は、在籍だけにして、せいさフリースクールに、娘さんを通わせたいと思うのですが、どうでしょう?
「おお、いいな。それがいいんじゃないか?」
あの、娘さんは、能力的には、一般で通用するタイプだと思うのですが、人間関係が難しい気がします。
こういう子は、高校も、せいさでゆっくりした方が、いいような気がするんですけど、どうでしょう?
先生は、嬉しそうに言いました。
「そうそう、それが、一番いいな。高校生になれば、特性もおさまってきて、面白い友達もできるぞ。大学は一般でいけるから、大丈夫だな。」
「器械体操は、クラブでやっていくのがいいぞ。どこか、さがすといい。」
一応、私立中学校が無理な時用に、体験は済ませていて、器械体操部を退部した後に、入らせてもらうつもりです。
「おお、じゃ、安心だな。」
心療内科の先生の話を聞いた後に、娘さんがつぶやきました。
「せいさ高校なら、友達ができるかも。」
娘さんにとって、私立中学校で、何よりも辛かったのは、友達が出来なかったことと、思いっきり器械体操をする事が出来なかった事だったようです。
どんなに、良い学歴があっても、どんなに社会的な地位があっても、心が満たされない人生なら、その人は、幸せになれていないと母は、思っています。
きっと、私立中学校高校に通えている方が、周りからの見え方は良いのかもしれません。
でも、その子が、元気に楽しく過ごしていけることが一番大切だと、今回の事で、強く思いました。
心療内科の帰り道、車の中で、母は、娘さんに尋ねました。
これから、どうしたい?私立中学校は、辞めていいのかな?器械体操部に思い残す事はない?
娘さんは、少し、遠い目をして言いました。
「この2ヵ月、オレは一生懸命がんばったんだよね。でも、合わなかったんだ。だから、もう、気が済んだよ。違う道に行くよ。」
娘さんはさ、もともとは、器械体操の先生が連れて行ってくれた大学に行きたいから、姉妹校の私立中学校に行きたいと思ったんでしょ。
それなら、将来、せいさ高校から、まだその大学に行きたいなら、行きやすいように、円満に退学するようにしてあげるね。
私立中学校高校の人たちと大会で会っても、気まずくないように。体調不良ということで、退学するようにしていくけどいいかな?
娘さんは、言いました。
「オレ、その大学に行きたいと思ったら、まだ行けるんだよね。」
大丈夫、任せてね。うまく、退学してあげるからね。まぁ、その時に、まだ、その大学に行きたければだけどね・・・。
それから、車の中で、娘さんは、元気に歌を歌いながら、帰っていきました。
母は、これからの私立中学校への話の仕方を、頭の中で、シュミレーションしながら、家に辿り着きました。
家に帰り、私立中学校へ電話をかけました。
そして、学年主任の先生に、心療内科へ行った所、精神面でも体調面でも、限界という診断を受けました。
残念ですが、退学させてくださいと、伝えました。
学年主任の先生とは、進学コースへのクラス移動の時に、話し合っていたので、話が簡単に進みました。
2日後に、退学手続きと荷物の引き取りのために、母だけが、学校に行く事がきまりました。
そして、器械体操部の顧問の先生に、体調不良のために、退学になること、退部のお願いのメールをしました。
器械体操部の顧問の先生から、メールが来ました。・
「残念ですが、また別の場所での、娘さんのご活躍をお祈りします。」
全てが、簡単に、スムーズに済んでいきました。
これが、私立中学校というところなのだろうなと、公立中学校の先生たちとは違うあっさりとした感じに、驚きました。
引き止められても困るので、我が家にとっては、今回は、助かりました。
退部した次の日、娘さんは設備の整った器械体操クラブに入りました。
そこで、週3回練習をさっそくはじめました。
私立中学校の部活に通いながらも、小学校から通っているショッピングモールの中にある小さな体操教室は、辞めずに週一回練習してきていました。
新しい体操クラブの上のクラスに上がるまでは、そこを週3回に増やして練習することにしました。
娘さんが小学校で、不登校の時も、今回の大変な私立中学校の生活の中でも、変わらずに応援し続けてくれるその体操教室の先生がいるおかげで、娘さんは、器械体操を好きなまま、続ける事ができました。
新しい体操クラブと今までの小さな体操教室を、掛け持ちながら、大好きな器械体操を楽しくやっていける道へと進む事が出来た娘さんは、元気になりました。
ひどく病む前に、たすける事が出来て、本当に良かった。場所は違っても、好きな器械体操を続けさせてあげれて良かったなぁと、母は、思いました。
さぁ、後は、私立中学校との最後の話し合いを残すのみです。
円満に、円満に、心の中で、つぶやいて、確認する母でした。
~to be continued~