娘さんが、2ヶ月間通った私立中学校に、退学の書類と荷物の引き取りで、母は、車で1時間の道のりを運転して行きました。

また、やっぱり、深夜早朝の仕事明けでした。

午後からにしてもらったので、少し眠る事が出来て、今までよりは、楽に運転していくことができました。


学校に着くと、談話室に通されました。

そして、授業の合間をぬって、学年主任の先生と、元担任の先生、今の担任の先生との3人で、話すことになりました。

先生たちは、とても緊張しているようでした。

母は、円満に、冷静に、最後まで、貫く覚悟で、話し合いにのぞみました。


学年主任の先生から、書類を渡されました。

「この書類に、退学理由を書いて、印鑑を押してください。」

談話室に、ピーンと音がするような、ものすごく緊張した雰囲気が流れました。

母は、印鑑を出しながら、瞬間的に理解しました。

先生たちの、ものすごく緊張しているのは、この書類の退学理由ではないのか・・・。

よく考えてみれば、娘さんの退学の理由を、いじめの為と、母は書く事もできるのだと、気づきました。

この書類は、学校の関係者も見るでしょう。もしかすると、公立中学校にも理由は、伝えないといけないのかもしれません。

責任は、どこにあるのか・・・。先生たちが、追及される可能性は、ものすごく高いのだろうと思いました。


母は、少し、時間をかけて、でもためらう事無く、理由を退学の書類に書き込みました。

『体調不良の為』退学します。

書いた瞬間、フーという先生たちの脱力する息づかいが聞こえてきました。

今までの緊張していた雰囲気がウソのように、なくなりました。


そういう事だったんだなぁ・・・。

書き終えた書類を渡しながら、円満に退学しようということだけを思っていた母は、なんだか、学校というものが、バカらしく感じられました。

一人の子どもの人生を真剣に考えてくれる先生には、なかなか会えないものだよね・・・。

この学校に、無理に行かせ続けなくて本当に良かったと、改めて思いました。


娘さんのこれからのために、母は、何一つ苦情的なことは、言いませんでした。

ただただ、お世話になりました。

通えなくて残念ですと、伝えました。


帰り際、少し涙ぐんだ先生たちに見送られて、荷物を持ち、私立中学校高校の門を出ました。

最後に、この学校と広がる青空の写真を撮って、いつか、娘さんが違う道に進んで本当に良かったと思えたときに、写真を見せてあげようと思いました。


あっけないほど、簡単に、30分もかからずに、退学手続きは、終わりました。


母は、車に乗り込んだ瞬間から、涙があふれてあふれて、止まらなくなりました。

娘さんが、行きたくて、ずっとがんばってきた事。

娘さんが、やっと受験して、一人で電車に乗る練習をして、通えるようになった事。

部活で、辛い思いをしながら、朝早くから夜まで、練習に参加した事。

いじめにあっても、最後まで、負けずに学校に行き続けた事。

いろいろな事が、一度に思い出されて、そして、とても可愛い制服を着る事も、もう出来なくなるのだと思うと、本当に、本当に、可愛そうで、悔しくなりました。


この悔しい気持ちも、涙も、きっと、娘さんのかわりに、母が、今感じているのだと、運転しながら思いました。


帰り道は、とてもきれいな青空でした。

きっと、この経験は、無駄にならないし、無駄にさせない・・・。

私立中学校へ行った最後の日、母は、強く誓いました。










# by chie_tknr | 2017-06-12 08:17 | 学校の事 | Comments(1)

娘さんが進学コースのクラスにはじめて入って、久しぶりに部活に参加し、辛い思いと、捻挫をして帰ってきた日から、休日をはさんで、3日経ちました。

幼稚園の時から、ずっと診てもらっている、児童心療内科に、娘さんを連れていきました。


心療内科の先生に、娘さんが、2ヶ月がんばったけれど、もう限界で、私立中学校を退学しようと考えている事を伝えました。

疲れて座っている娘さんに、心療内科の先生は、笑顔で言いました。

「おう、そうか。よく、がんばったな。もう、気は済んだか?」

「私立中学校って言ったって、所詮、義務教育だ。部活だって規則が厳しいし、みんなと同じにさせたがるものだから、合うわけないよな。」

「一度、行ってみないと気が済まないだろ? だけど、もう、いいよな。」


娘さんは、うなずきました。


先生、今度は、公立中学校は、在籍だけにして、せいさフリースクールに、娘さんを通わせたいと思うのですが、どうでしょう?

「おお、いいな。それがいいんじゃないか?」


あの、娘さんは、能力的には、一般で通用するタイプだと思うのですが、人間関係が難しい気がします。

こういう子は、高校も、せいさでゆっくりした方が、いいような気がするんですけど、どうでしょう?

先生は、嬉しそうに言いました。

「そうそう、それが、一番いいな。高校生になれば、特性もおさまってきて、面白い友達もできるぞ。大学は一般でいけるから、大丈夫だな。」

「器械体操は、クラブでやっていくのがいいぞ。どこか、さがすといい。」

一応、私立中学校が無理な時用に、体験は済ませていて、器械体操部を退部した後に、入らせてもらうつもりです。

「おお、じゃ、安心だな。」


心療内科の先生の話を聞いた後に、娘さんがつぶやきました。

「せいさ高校なら、友達ができるかも。」


娘さんにとって、私立中学校で、何よりも辛かったのは、友達が出来なかったことと、思いっきり器械体操をする事が出来なかった事だったようです。


どんなに、良い学歴があっても、どんなに社会的な地位があっても、心が満たされない人生なら、その人は、幸せになれていないと母は、思っています。

きっと、私立中学校高校に通えている方が、周りからの見え方は良いのかもしれません。

でも、その子が、元気に楽しく過ごしていけることが一番大切だと、今回の事で、強く思いました。


心療内科の帰り道、車の中で、母は、娘さんに尋ねました。

これから、どうしたい?私立中学校は、辞めていいのかな?器械体操部に思い残す事はない?


娘さんは、少し、遠い目をして言いました。

「この2ヵ月、オレは一生懸命がんばったんだよね。でも、合わなかったんだ。だから、もう、気が済んだよ。違う道に行くよ。」

娘さんはさ、もともとは、器械体操の先生が連れて行ってくれた大学に行きたいから、姉妹校の私立中学校に行きたいと思ったんでしょ。

それなら、将来、せいさ高校から、まだその大学に行きたいなら、行きやすいように、円満に退学するようにしてあげるね。

私立中学校高校の人たちと大会で会っても、気まずくないように。体調不良ということで、退学するようにしていくけどいいかな?


娘さんは、言いました。

「オレ、その大学に行きたいと思ったら、まだ行けるんだよね。」

大丈夫、任せてね。うまく、退学してあげるからね。まぁ、その時に、まだ、その大学に行きたければだけどね・・・。


それから、車の中で、娘さんは、元気に歌を歌いながら、帰っていきました。

母は、これからの私立中学校への話の仕方を、頭の中で、シュミレーションしながら、家に辿り着きました。


家に帰り、私立中学校へ電話をかけました。

そして、学年主任の先生に、心療内科へ行った所、精神面でも体調面でも、限界という診断を受けました。

残念ですが、退学させてくださいと、伝えました。

学年主任の先生とは、進学コースへのクラス移動の時に、話し合っていたので、話が簡単に進みました。

2日後に、退学手続きと荷物の引き取りのために、母だけが、学校に行く事がきまりました。

そして、器械体操部の顧問の先生に、体調不良のために、退学になること、退部のお願いのメールをしました。

器械体操部の顧問の先生から、メールが来ました。・

「残念ですが、また別の場所での、娘さんのご活躍をお祈りします。」


全てが、簡単に、スムーズに済んでいきました。

これが、私立中学校というところなのだろうなと、公立中学校の先生たちとは違うあっさりとした感じに、驚きました。

引き止められても困るので、我が家にとっては、今回は、助かりました。


退部した次の日、娘さんは設備の整った器械体操クラブに入りました。

そこで、週3回練習をさっそくはじめました。

私立中学校の部活に通いながらも、小学校から通っているショッピングモールの中にある小さな体操教室は、辞めずに週一回練習してきていました。

新しい体操クラブの上のクラスに上がるまでは、そこを週3回に増やして練習することにしました。

娘さんが小学校で、不登校の時も、今回の大変な私立中学校の生活の中でも、変わらずに応援し続けてくれるその体操教室の先生がいるおかげで、娘さんは、器械体操を好きなまま、続ける事ができました。

新しい体操クラブと今までの小さな体操教室を、掛け持ちながら、大好きな器械体操を楽しくやっていける道へと進む事が出来た娘さんは、元気になりました。


ひどく病む前に、たすける事が出来て、本当に良かった。場所は違っても、好きな器械体操を続けさせてあげれて良かったなぁと、母は、思いました。

さぁ、後は、私立中学校との最後の話し合いを残すのみです。

円満に、円満に、心の中で、つぶやいて、確認する母でした。


~to be continued~



# by chie_tknr | 2017-06-12 05:16 | 学校の事 | Comments(0)

娘さんは、次の日の朝、起き上がる事が出来ませんでした。

母は、ゆっくり眠らせてあげることにしました。


そして、母は、『円満退学』をするために、動き始めました。


朝8時に、私立中学校に電話をしました。

そして、娘さんが、疲れて起き上がれないので休む事と、休み明けに心療内科に行って、また連絡しますと伝えました。


朝9時に、市役所の教育委員会に電話をかけました。

母は、娘さんが小学校2年生の時、先生にひどい扱いを受けて、教育委員会に相談に行ったところ、ものすごく嫌な思いをしたことがあります。


だから、とりあえず、電話で相談する事にしました。

私立中学校を退学する上で、必要な事や、学区外の公立中学校への転校の事を、尋ねました。


電話口の市役所の人は、こんなことを言いました。

「ああ、私立中学校からの転校ですね。退学した時点で、義務教育ですから、自然に公立中学校へ転校という事になります。」

「私立中学校に、退学の事を伝えて、書類をもらって、公立中学校の校長に、電話をかけて、転校してください。」

あの、すみません。それでは、教育委員会からではなく、全部、保護者がその連絡とかは、しないといけないんでしょうか?

「ああ、そうです。こちらでは、関与しませんので、よろしくお願いします。」


公立中学校への転校なのですが、小学校の時に隣の学区に通っていた子どもは、隣の学区の中学校へ通えるとか、部活が無い場合は、ある中学校へ通えるというのがありますけれど、今回も、それでお願いしたいのですが。

「ああ、あるんですよねー。そういうこと言う人。今回は、一回私立に行ってますので、適応できません。規則で、小学校から直接公立中学校へ行く時って、きまってるんですよ。無理ですね。」

すみません、友達がいるので、転校した後に、通える可能性が高いとしても、一回、たった二ヶ月だけでも、私立中学校へ行ってしまったら、ぜったいに学区外は、転校できないのでしょうか?

「そうです。規則ですから、無理です。一度、直接、市役所にきてもらえますか?」


最後まで、冷静に・・・。と、決めていた母ですが、何かが、音を立てて、切れました!!

すみません、規則だから仕方が無いと、言われますけれど、その規則、今後話し合われた方がいいと思いますよ。

私立に行ってみたけれど、うまく行かなかった。隣の学区なら通えるかもしれないという子供さんは、他にもいらっしゃると思います。

その可能性を、考えてあげてください。

それと、転校の手続きも、公立との連絡も全て保護者がするのに、なぜ、わざわざ市役所まで行って、話しをする必要があるのですか?

こういうときは、親子ともに大変なんです。

何も、手伝えないなら、せめて、呼び出さないでそっとしてください。

我が家は、いいです。でも、この地域の教育委員会は、最悪だと言われています。

もっと、柔軟に対応できるように、考えられてみてください。


母、教育委員会とは、やっばり合いませんでした・・・。

本当に、困っている人がいる時に、毎回役立たないなぁと、しみじみ思いました。

わがままで言っている家庭と、どうしてもしかたがない家庭を見分ける事ができないから、規則を持ち出すしかないんだろうけど・・・。

隣の学区の公立中学校に転校することは、あきらめることにしました。

直接相談に行かなくて、本当に良かったと、改めて、電話で済まして良かったと思いました。


疲れ果てた娘さんが、すぐに今の学区の公立中学校へ転校しても、また一から人間関係を作って、元気にやっていけるようになるとは、思えませんでした。

それで、在籍だけさせてもらって、息子くんと同じように、せいさフリースクールに通うことにしました。

せいさの先生に電話をしました。

先生は言いました。

「あ、娘さんですね。いろいろ息子くんから、妹さんの事は聞いていますよ。大歓迎ですよ。いつでも来てくださいね。お待ちしてます。」

教育委員会の人と話して、疲れた母には、せいさの先生の言葉は、本当に救われる思いがしました。


次に、家から車で25分の距離にある、設備の整った器械体操クラブに、体験の申し込みをしました。

ここは、私立中学校が、合わなかった時のために、以前娘さんが一度体験に行ったことのある体操クラブでした。

娘さんは、足を捻挫していますが、精神面を考えれば、サポーター、テーピングをしても、次の体操クラブで早く器械体操をするほうがいいと思いました。


そして、ゆっくり休んだ次の日、娘さんの希望で、すぐに、器械体操クラブに、体験に行きました。

足に負担をかけないように、軽めに動いた娘さんでしたが、器械体操クラブの先生が、娘さんには、別メニューで、いろいろな事をさせてくれました。

体験を終えた後に、娘さんが、言いました。

「そうだよ!!これだよ!! 器械体操部では、ずっと二ヶ月走りこみと筋トレばかりしていたんだよ。一つも技を習えなかったんだよ。でも、今日は、久しぶりに技を教えてもらえて、思いっきり動けて、楽しかったよ!!」

昨日まで、辛そうだった娘さんが、器械体操クラブの体験で、久しぶりに笑顔をみせました。

「オレは、やっぱり、楽しく器械体操をしていきたいんだよね。部活は、合わなかったなぁ。」


娘さんは、よくがんばったよと言いながら、元気になってきた娘さんの姿に、本当にホッとした母でした。


~to be continued~



# by chie_tknr | 2017-06-12 04:07 | 学校の事 | Comments(1)

娘さんは、小学校3年生の時に、今通っている私立中学校に、行きたいと言いました。

小学校1年生の時から、器械体操を習っていて、先生がたまに大学に連れて行ってくれていました。

将来は、その大学で、器械体操をしたいという思いから、姉妹校である中学校をインターネットで見つけて、行きたいと思ったそうです。

その私立中学校に入るために、娘さんは、何度も体験に行きました。

そして、受験して、やっと4月から2ヶ月間、私立中学校へ通うことが出来ましたが、その生活は、あまりに過酷なものでした。

クラスでは、いじめに合い、二ヶ月の間に、両足を捻挫し、精神的にも、肉体的にも、辛い事ばかり起こりました。

それでも、大好きな器械体操を、思いっきりすることができれば、耐えることができたのかもしれません。

でも、器械体操部も、娘さんには、合いませんでした・・・。


3年間、体験に行ったのに・・・。

体験の時には、わからなかった厳しい上下関係とか、指導者がかわっただけで、こんなにも違ってしまった雰囲気などを、嫌というほど、実感させられました。

娘さんは、本当によく、がんばりました。

でも、精神的にも、肉体的にも、疲れ果ててしまいました。


これ以上は、心を病んでしまう・・・。


何年も行きたいと思って、がんばって入学できた私立中学校でしたが、娘さんをまもるために、母は、動く事に決めました。

それは、私立中学校と器械体操部を、円満に退学させてあげる道・・・。

将来、娘さんが、その姉妹校である大学に、また行きたいと思った時に、困らないように。

そして、今後も、器械体操を続けていく上で、大会で、私立中学校高校の関係者と出会っても、気まずくないように。

言いたい事も、悔しい思いも、すべて娘さんの将来へとつなぐために、呑み込んで、今回は、動く事に、決めました。


母は、まずは旦那さんに相談しました。

旦那さんは、静かに言いました。

「娘さんは、本当によくがんばったよ。そして、僕も、試験の時に、娘さんを学校まで送迎して、がんばったんだよね。だから、もう、思い残す事はないよ。」


それじゃあ。今回のコンセプトは、『娘さんの将来のために、一つ一つ順序立てた円満退学』これで、やってみるね!!

これで、やっと、娘さん本来の能力を発揮した道に行かせてあげられる・・・。


母は、すぐに、娘さんが次の道へと進めるように、動き始めました。


~to be continued~






# by chie_tknr | 2017-06-12 03:06 | 学校の事 | Comments(0)

私立中学校に、入学してから2ヶ月間、本当にいろいろな大変な事が続いた娘さんは、隣の進学コースのクラスに移れる事になりました。

6月1日からクラスが移動できるということだったので、足を捻挫したこともあり、辛い今のクラスを一週間休んで、新しいクラスになる日から登校する事にしました。

母は、登校する日も、深夜早朝の仕事明けでした。

でも、全ての荷物を前のクラスのロッカーから移動したために、娘さんだけでは、持っていけないほどの重い荷物でした。

それで、今回も、無理を押して、車を運転して、娘さんを学校に送りました。

眠すぎました・・・。前日は、お客さんがものすごく多くて、忙しく働いた後でした・・・。

こんな大変な送迎も、今日で終わるような気がする・・・。

ふと、そんな思いが母にはしつつ、がんばって、娘さんを新しいクラスの見えるところまで送りました。

先生と一緒に、新しいクラスの中に入っていく娘さんを見届けて、母は、急いで、ファミレスに行きました。

そして、朝ごはんを食べて、その駐車場の車の中で、しばらく眠りました。

元気になったと思って、帰っていたのですが、また睡魔に襲われてきたので、途中の木陰に車をとめて、眠りました。

何とか、家にたどり着き。そして、娘さんが一日無事に過ごしているかを心配しながら、家事をしました。

娘さんは、足の捻挫がほとんど良くなっていたので、今日から器械体操部の練習にも参加しています。

辛い思いをしていないといいなぁと、思いながら、夜8時に車で電車の駅まで迎えに行きました。


娘さんが、遠くから歩いてきました・・・。

とても疲れて、泣きそうな顔で、歩いてきます・・・。


ああ、何かあったんだなぁ。と、車に近づいてくる娘さんの表情で思いました。


車に乗った娘さんは、ポツリポツリと、今日あった出来事を話してくれました。

「新しい進学コースのクラスに入ったんだよ。そして、授業があってさ。先生にあてられて、答えるように言われたんだよ。」

「まだ、前のクラスは、そこまで進んでなかったから、答えられなかったんだよね。」

「そしたら、他の子たちが、クスクス笑って、ものすごくバカにしたんだよ。まだ、習ってないからわからなかったのにさ。」


「昼休みに、部活の準備で、机を運んでいたんだよ。そしたら、前が見えなくて、階段から落ちて、今度は、反対の足を痛めたんだ。」

「でも、部活には、出なくちゃいけないと思って、自分でテーピングを巻いて、出たんだけど、痛くて耐えられなくて、練習のメニューをかえさせてもらったんだよ。」

「そしたら、監督とコーチと部長にメニューを勝手に変えた事を、ものすごく叱られて、足が痛すぎて出来なかったといったら、言葉できちんと言えといわれてさ。」

「もっと叱られて、謝らされたんだよ。そんなの、聞いたことがないから、言わなきゃ変えちゃいけないなんて、知らなかったんだよ。」


家に帰り着いて、荷物を置いた娘さんが、泣きながら言いました。

「オレさ、何のために、器械体操をしてるのか、わからなくなってきたんだよ。楽しくやりたいだけなのに。叱られるんだよ・・・。」

「クラスもさ、変わったけれど、うまくやっていける気がもう、何もしないんだ。がんばらないといけないと思うんだけど。もう、無理かもしれない・・・。」


母は、娘さんの頭をなでながら、言いました。

大丈夫だよ。娘さんは、本当によくがんばってるよ。大丈夫。無理はしなくていいんだよ・・・。


キッチンの椅子に娘さんを座らせました。

そして、階段から落ちて痛めたという、足を、靴下を脱がして見てみました。

そこには、一生懸命、痛くないようにと自分でがんばったのでしょう・・・。

テーピングで、つたないながらも、グルグルに巻いた足首が見えました。

母は、階段から落ちても、誰にも言えず、一人でがんばってテーピングを巻いている娘さんの姿を想像するだけで、本当に辛すぎて涙が出てきました。

グッと涙を耐えて、手では切れないほど硬く巻いたテーピングを、はさみで切って、取りました。

腫れ上がった足首に、こんなになるまでこらえたのに・・・。

辛い中、やっと、学校にも部活にも参加したのに・・・。

それなのに、厳しくし続けた周りの人たちの姿に、ただただ悲しくなりました。


泣いている娘さんに、母は、言いました。

娘さんは、がんばったよね。本当に、よくがんばったんだよ。

人にはね、向いている場所と、向いていない場所があるんだよ。

娘さんにとって、私立中学校が、向いてないだけじゃないかな?

世の中にはね、もっと、楽しくて、娘さんの能力を最大に伸ばしていける道が他にもあるんだよ。

昔から、行きたかった中学校だからね、応援してきたけれど、もうがんばったから、いいんじゃないかな?


娘さんが、母の顔を見て、言いました。

「オレ、がんばったんだよ。一生懸命、やっていこうとしたんだよ。もう、いいかな・・・。もう、いいよね・・・。」


ゆっくり、休もうね。また先のことは、考えればいいからね・・・。


娘さんは、静かに、眠っていきました。



もう二度と、こんな辛い思いを娘さんにはさせないと、心に決めた母でした。





# by chie_tknr | 2017-06-05 20:26 | 学校の事 | Comments(2)